世界を言葉で繋いだら

毎日にイラストを添えて

time is...

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 time is money、ときは金なり。よく聞くフレーズです。時間というのはとても大切なもので、価値を分かりやすくするためにお金と比較している言葉です。それとも時間を捻出することによってお金を得られるという、資本主義、共産主義共通の労働に関する意味でしょうか。何しろ国民の三大義務ですからね。

 お金ってすごく不思議な生き物で、信用を交換した存在なんです。お金ではありませんが、クレジットカードのcreditは信用という意味です。カードを銀行で作るときに、おおよその年収や勤務先を記入します。つまり「この人は、このくらい収入があるはずだから。ここまでなら貸していいな」という信用に成り立っています。為替相場も同じで、国に対しての信頼度が金額を決めます。まだまだインフラ整備中の国なら、同じチョコレートを買うのにも100円では買えず、500円払うことでやっと価値が等しくなる。そんな仕組みです。

 時間をお金と比較するのは分かりやすくて便利ですが、私はお金というのはあくまで便利な紙っぺらとしか認識出来ておらず。時間と比較できるくらい価値のあるものは、一体何か考えることがあります。例えば健康や信頼、家族、友人。もっと大きなスケールだと愛とか平和でしょうか。価値を考えられるだけの環境がないと、時間とは?なんて、なりません。

 溶けた時計の絵画で有名なサルバドール・ダリの絵画を見たことはあるでしょうか。ちなみに絵のタイトルは「記憶の固執」です。私はダリが好きで、時計も好きですが「十字架の聖ヨハネのキリスト」、ルビーで出来た動く作品「王家の心臓」などユニークでシニカルで、人によってはグロテスクに感じるものもありますが、面白い作品が多いです。

 ダリの作品を見ていると、とても好奇心や科学が好きで。目に見えるものをいかに形にするのか、こだわっていたのかなと思います。私は不思議なことが好きで、それらを自分の理解できることにするために文系なのに科学が好きなやつなんです。科学というと数値や実験結果など、事実しか信用しない学問のように思われるでしょうが。ロマンや不思議を追いかけるがために、道具として科学を使っている、とてもロマンティックな学問だと思っています。むしろ美術や文学など、見えないものを文章化する学問のほうが、科学的です。もちろん文学にもロマンはあって、人の心を見えるようにしようとするって宇宙を観察しているのに近い感覚を覚えます。

 話が逸れましたが、時間を比べることは難しくって。人によって1分の長さは感覚的に違います。年齢や、時間を過ごす空間によって左右されるし。体調が悪いときって1日が長いですよね。価値がある、というとは周りも言っているし、経験上分かるけれど。時間ってものを考えることは、あまりないんじゃないでしょうか。大切とか大事、貴重っていうけれど、自分にとって、どのくらいのものなのか。たまには考えるのも楽しいですよ。私の好きな哲学者、ハイデガーが「存在と時間」という未完の、めちゃくちゃ読みにくい本を出しているんで、興味の湧いた方は、ぜひ。何度か読んでいますが長いことと、少し予習が必要な本です。

 時間は見えないけれど、ものが風化して錆びる、氷が溶ける、ものが落下するという、日常的に見えているものです。それを有史以来、大事だ大事だと先人が話しているんですから、一度くらい考えても良いのかなという話です。