世界を言葉で繋いだら

毎日にイラストを添えて

読書【ライフシフト】

 

  今更感はありますが、友達が貸してくれたので読んでみました。本を見ると初版は2016年11月3日、さらに日本語訳になるまで、本書で考えられている分析の元データの算出などなどを考慮すると「10年前に立てた予測がどうなったのか」とも読めます。

 やりつくされているであろうが、レビューしてみます。まず私が読んだほうが良いなと思う方は、

  • 中学生または高校生
  • 一度も転職をしたことがない人
  • すでに会社を定年で退職している人

 です。まず初めに中学生ないし高校生としているのは本書でもあるように、親が過ごしている状態と全く違うから。参考になるアドバイスもあるでしょうが、自分で参考にするかしないか考える必要があります。そんなの就職が間近でいいじゃないかという意見もあるでしょうが、今は多様化していると耳にはするけど、実際に働いている身近な人の働き方を、社会の仕組みが理解できる中学以降に見て。それから3年あるいは5年7年後の就職するときと、どのくらい変化が起こっているのか比べられた方が有利とも言えます。また2022年4月から家庭科で「投資の授業」が始まります。いよいよもって年金が支払えないから、各々頑張ってくれとも受け取れます。未来は決まっていないことなので、本書にあるような戦略を練らなくてもよくなることもゼロではないでしょうが、知っているのはいいんじゃないかな。

 転職をしたことない人は、自分のスキルがよく分かっていません。社内での役割みたいなものや、スキルは知っているでしょうが。例えば会社が倒産したり、別の会社度合併して全然違う人事制度になったときる自分は何ができるのか、聞かれて答えられるのか考えるきっかけには良さそうです。昨今、副業をしてもいいとする会社が増えてます。それとこれは私の希望する未来の1つでもあるんですが、週3日会社で勤務して他の日は好きにしていいという勤務形態が生まれたとき。AIが手伝ってくれて今までと同じ成果が出せて、労働力が余った時。家で何をするでしょうか?趣味に時間を使う、人と会うという行動ももちろんするでしょうが。やってみたかった仕事に挑戦できる時間にもなります。本当は食品じゃなくて、化粧品を販売したかった。1日2時間でも良いという好条件の仕事がある、やってみたい。というような具合です。

 本書とはずれてしまいますが、仕事の拘束時間というものも変化していくと私は思っています。在宅ワークのできない業種はまだまだ多いですが、10年もしないうちに画面越しに接客するのが当たり前になると思っています。料理のようなものは、まだ調理する人が必要ですが。運ぶ技術が上がれば、湯気が出て熱々の料理は限られるでしょうが、そこそこ温かいものをお店に行かなくても食べられるようになりそうだと思っています。もちろん接客や店内で受けるサービスがなくなるわけじゃなくて選べるという意味です。

 技術の進歩というのは、必ず起こります。私のようなことを考えている人が多いか少ないかで現実にやってくるまでのスピードが違うだけで、あると思っています。

 最後に定年で仕事を辞めた人を、読んでほしい人に挙げたのは、勉強するのが当たり前の未来が近くにやった来るからです。本書では金銭面での不安をとりあげて、学ぶこと、ポートフォリオ・ワーカー(知識があるから派遣されるスペシャリストみたいな意味合いで捉えてください)が何度か登場しています。それも要素ではあるでしょうが、単純に学ぶことがすきな私としては、それが当たり前になってほしいってこと。若い人のできる俗にいうキャリア形成を、見てほしいんです。どういうことかというと、もし本書にあるように今でいう再雇用されたときに、どんなことを教えたらいいのか知れるんじゃないと思うからです。自分のやり方だけ伝えても、過去の栄光引きずってるオジサンになるので。きっとここは古くても基礎的な情報だから伝えておこう、経験値として知ってたら便利な話をしておこう。となれば理想的ですよね。いつの時代も、相手のことを考える人が好かれるものです。まだ働きたい人は、立場とかで優位になっている感覚が抜けないと再雇用も簡単に終わると思うんですよね。

 そういう意味で言えば、本書ではフラットな人間関係の良さを説明しています。年齢でおおよその所属、社会人なのか学生なのか、結婚してるのか、などといったラベルですね。それを選べる時代になったともいえます。

 本書は前半部分で、いかに時代と社会の仕組みがずれてきたのかを説明しています。そりゃ国民全体の感覚を変えようとしたら、30年くらいはかかると思います。感覚がすれてからでないと、法律の改定もできないですよね。今の法律は合わない、ならどんなものが良い?と聞かれて答えるには。3年後はここら辺も問題になりそうと想像するには、ちょっとまだ経験値不足ですよね。法整備はそういう理由で絶対に後からになりますが、感覚をなるだけ近づけて、より今の状態に合った社会を考える。それには自分と違う考えの人と触れ合っていたほうが良い。

 違う立場というのが、これまた難しくて。会社や社会的なものくらいは簡単に話が聞けそうですが、本書にもあるように8歳以上の差がある人と交流を持つことは難しいようです。私も確かに、と思いました。人が何を考えているのか興味があるので、話を聞きたいんですが。先ほど言ったラベルが被らない人と趣味やネットで知り合えるのは良い時代だなと思います。話はずれますが、シェイクスピアの舞台などの台詞、無茶苦茶長いんですね。それは演劇を見られていない人が設定や人物の関係を忘れちゃうからというのと。今のようにテレビも雑誌もないから、貴族の生活のイメージが全くなくて説明する必要があったため、という理由もあるそうです。共通認識があるって話をする土台整備をしなくて、いきなり本題を話せる。ラベルが被っている状態がこれと同じだと思います。

 

 読んで損はないですが、私は目新しさは特に感じませんでした。というのも、早くAIに仕事を奪われたい人なので。どんな社会になったらいいのか、なんて考える機会はそもそも政治家でも目指さないとないですよね。今の社会ってなんか合わないらしいけど、何がそうなんだろう。素朴な疑問に答えられる大人もそう多くないので読んでみて、会社の仕組みが変わりそうだなと知っておいた方が、いきなり報酬型になったりしたときに怖くないと思います。